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AIはスタンプを選びません。薦めるだけです

返信にスタンプを一つつけるだけで、文面の硬さはずいぶんやわらぎます。
そして、ここは「AIが勝手にやってくれたら楽そうだ」と最初に思う場所でもあります。
下書きの内容を読めば、感謝かお詫びか「承知しました」かは、だいたい見当が付くからです。

実際、見当を付けるところまではやっています。
下書きができたあとで「この返信ならこの意味のスタンプが合いそうだ」と一つだけ見立てて、スタンプの一覧でそれらしいものを先頭に寄せ、印を付けます。
印が付くのはほんの数枚だけです。
全部に印が付いたら、印の意味がなくなってしまうので。

そこで止めました。
最初から選ばれた状態にはしません。
押して選ぶのは店主です。

なぜ最後のひと手間を残したのか

理由は二つあります。

一つは、このアプリの根っこです。
お客様に届くものは必ず事前に承認してもらう、という一本の線を引いています。
AIが勝手につけたスタンプがそのまま届いてしまうなら、その線は引けていません。
文面だけ承認してスタンプは自動、という中途半端な線引きは、あとから必ず「どこまでが承認済みだったのか」が分からなくなります。

もう一つは、お金の話です。
スタンプは本文と同じ送信にまとめて送るので、ふつうはつけても一通のままです。
ただ、商品や添付をたくさんつけた返信では一度に送れる量に入りきらず、スタンプだけが別の送信になって二通になります。
気づかないうちにスタンプがつけられていると、そういう回は無料で送れる枠が余分に減ります。
便利にした結果、店主が把握していないところで枠が減っていく——それは便利ではありません。
この記事を書いた9月の時点では、スタンプはいつも別の送信で、つけるたびに二通になっていました。
10月から、まとめられる回は一通にまとめています。

薦めるところまでなら、どちらの問題も起きません。
印が付いていても、選ばなければスタンプは届きません。

印の付け方にも店の癖を入れた

同じ「感謝」の意味でも、使えるスタンプは何枚もあります。
どれを上に出すかは、その店が前に送ったことがあるものを優先しています。
店の口ぐせをそのまま踏襲する、という考え方です。
新しく入ったスタンプを押し付けるより、いつも使っているものがすぐ見つかるほうがありがたいはずだからです。

迷ったときは印を付けません。
感情が食い違うスタンプを薦めるくらいなら、何も薦めないほうが安全です。
印が一枚も付かない回があるのは、壊れているからではなく、そう判断したからです。

商品をつけたときの「届かなかった分」

同じ考え方が、返信に商品をつけたときにも出てきます。

LINEに商品をカード型で並べて送るとき、一度に送れる量には上限があります。
商品名が長い店では、店主が選んだ全部が入り切らないことがあります。

ここで一番こわい壊れ方は、入り切らなかった分が黙って消えることです。
店主は全部送れたと思い込み、お客様は何のことか分からない。
そのずれは、あとから誰も気づけません。

だから、入り切らなかったときは件数を数えて画面に出します。
「◯件は届きませんでした」と書きます。
そして最後に一枚、オンラインストアの商品一覧へ行けるカードを足します。
届かなかった商品そのもののページには飛ばせないので、全商品の一覧へ逃がす、という割り切りです。
全部が届いた回には、このカードは足しません。
足してしまうと、いつもの返信の見た目が変わってしまうからです。

この連載の芯

スタンプも商品も、機能としては「できる」のに、あえて最後の一手を店主に残している場所です。
自動化できるところを全部自動化すると、店主は自分の店が何を送ったのか分からなくなります。
それは楽になったのではなく、手放しただけです。

どこまで手伝って、どこから手を引くか。
その線の引き方を、このあとの記事でも一つずつ書いていきます。

持ち帰っていただきたい一言送る中身を決めるのは店主です。 届かなかったものは、届かなかったと分かるようにします。

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この記事は2026年10月時点の仕組みについて書いています。